ハオの残した情報にはこう記されていた。


『ファイトに優勝したシャーマンは、グレートスピリッツと一体化するため
洗礼の儀式を受け、一時死の眠りにつく。』


シャーマンファイトに優勝するのはハオ。誰であっても、あいつの巫力には到底かなわない。
そして、ハオはこの事情をすでに承知していた。自分の野望のため、使命のために。




オイラ達の使命・・・。それはハオを叩くこと・・・。




でも・・・・

オイラは・・・・・







ハオを叩くなんて・・・・できんのよ・・・。






+++サミット++++



「眠れないの?あんた・・・」

窓に腰掛けてる葉に、優しく問いかけるアンナ。
でも、その声はどことなく・・・寂しそう・・・。
葉はアンナの言葉にビクっと身体を震えさせ、伏せていた頭を上げ、アンナのカオを見た。

「アンナ・・・。」


何かを考えている、訴えるような眼差し。

葉の考えている相手は、まぎれもなくアイツのこと・・・・。

アンナは葉の隣に腰掛け、そしてボソッと問いかけた。


「まだ、覚悟できてないのね。」
「ああ・・・」



切ない声

まだ、心の準備が出来ていない証拠




それはそうだ。

だって、訊かされた言葉は葉にとってとても、衝撃的なことだったから。
そしてそれを実行するのが、葉の役目。






ヨウハ、アイツヲタオサナキャイケナイ・・・・






「葉、時はすぐそこまで迫ってきているのよ。考えたい気持ちもわかるけど、そろそろ準備しないと。」
「アンナ。でも、オイラにはやっぱり出きんよ。アイツを・・・ハオを叩くなんて。」

ズボンの布をギュっと掴み、今にも泣きそうな声でアンナに向かってこう言った。






精神(ココロ)が痛い




今にでも胸が張り裂けそう





誰か  助けて







「あんたは優しいからね。でもね、これはあたし達の使命なの。あいつを、もうこれ以上遊ばせちゃいけないのよ?」
「でもっ・・・オイラは・・;ってアンナ//??」

「葉・・・。」

なかなか言う事を訊かない葉に、アンナは葉の服を掴んで、そして愛でる様に優しく抱きしめた。
葉は一瞬戸惑いの色を表した。いつも強気なアンナがいつもに増して優しすぎる。
熱でもあるのか?・・・・葉はそう思っていた。でも、

アンナの行動は、どうやら本気のようだ。



「葉、・・・・お願いだからわかってちょうだい。ハオを止めるにはもうこれしか方法がないのよ。」
「わかってる、わかってるつもりなんよ。でも、オイラには・・・オイラには出来ない。」

精神的に迷っている葉に、やれっていってもやれるはずがない。


ハオを、失いたくないから



好きだから



でも、アンナの気遣いな優しさに答えようと、葉は自分からそっと、アンナを抱きしめ返した。



沈黙が続く。



一言も喋らず、ただ抱きしめ合うだけ。





「明日、蓮達の試合だってのは知ってるわよね?」


時間が過ぎていく中、その沈黙をアンナが破った。


「えっ;?あっ・・あぁ。でもなんだ?突然・・;」
「別に。」

そう言ってアンナは葉から離れた。



そして部屋から出ようとした時、葉に向かってこう言った。

「ちゃんと朝早く起きるのよ?試合午前中からみたいだから。」
「アンナ・・?」



いきなりなに言い出すやら・・・



「それに、悲しいのはあんただけじゃないの。あたしだって、葉の悲しんでるところを見るのが辛いのよ。」


―――それだけはわかって頂だい―――


ドアの閉まる音が聞こえ、部屋には葉1人になってしまった。



悲しい声が聞こえる


アンナも・・・苦しんでいる


「あぁ。」


誰もいない部屋に響く声

月明かりがそっと、葉の身体を刺激する

まるで、あいつが葉を見るかのように


あいつが―――――・・・・・



アンナが去ったドアから、1人の人影が目に入った。
髪の長い、マントを背負った少年。
葉の双子の兄。そして、麻倉の敵。


葉の・・・・大事な想い人


「ハオ・・・」

葉の目元から一筋の涙が零れ落ちる。辛そうな声でハオを見つめ、するとハオはその涙に引き寄せられるかのように、葉の元へ急いで駆け寄った。
今にでも壊れそうな葉を強く抱きしめ、そして葉の弱々しい唇にキスを一つ落す。
でもただのキスじゃなく、濃厚な激しいキスを。
いつも嫌がる葉が珍しくハオの首に腕を回し、ハオからのキスを充分に慕っている。

「ふっ・・・ん・・はぁ〜・・ハ・・・オ・・」

口の中に入っていたハオの舌に、自ら舌を入れ絡めさせる。



―――もう、葉は無理だな――――



ハオがそう思ったとき、葉の口元からつつ・・っと、誰でもない雫が床に落ちる。すると葉は充分キスに慕ったのか、自ら唇を離し、ハオの身体をギュっと抱きしめた。
それを合図にハオも、葉の身体を抱きしめた。ハオの胸から葉のすすり泣く声が聞こえる。

「ハオ・・・オイラ・・」
「話したんだね。僕を倒すための大事な話を・・・。」

その言葉に葉は、コクリと首を縦に振った。

「僕はもう覚悟は出来てるよ。僕が死の眠りについてる間、お前を含め、お前の仲間達が僕を叩くのだろ?」
「・・・・・・・・・」

心一つ乱れないハオの言葉

葉はなにも返せなかった。本当のことで、言葉も出せなかった。


「でも、葉は優しすぎるよ。」

ハオの意外な言葉に葉は目を見開き、パっと首を上に上げた。
そこには、今まで見たことのないハオの泣きそうな姿が目に入った。

「葉がそんなんじゃ、僕は死を恐れるじゃないか・・。」
「えっ・・?」
「もっと現実を見ろ。葉は僕を倒さなきゃいけないんだ。なのに、なのに葉がそんな状態だったら僕は・・・・僕は・・・・・」

葉を抱きしめてる腕に力が入る。
ハオも葉に倒されることを恐れていた。それ以前に、ハオは葉に好意を抱いていた。それは葉とて同じ事。
隙を見込んでは二人はしょっちゅう逢っていた。そして逢っては身体を重ね、ある言葉を共に囁いていた。



そう・・・「愛してる」と・・・・



「頼むから早く覚悟を決めてくれ。僕は、もうこれ以上自分を抑えたくはないんだ。」
「でもハオは、・・・ハオはオイラに倒されてもいいんか?ハオだって本当はオイラと同じこと―――・・・」

「っ・・だまれ!!!」

ハオの苦痛な声が部屋中に響き渡る。葉の言葉はハオの叫びで消しけされた。
葉はハオの変貌に一瞬恐怖を覚えた。

「ハ・・オ・・?」
「くっ;!・・そうだよ、葉の言う通りさ!僕は葉に殺されたくない!・・・だから、もうここにはいるな。僕のそばへ、僕の元へ帰ってこいよ・・・葉。」

葉の片にカオを静め、今にも消えそうな声で囁いた。

「オイラだって・・・ハオのそばにいたいぞ。でも、アンナと約束しちまったんよ。ずっとそばにいるって・・・。」

その言葉にハオはそっとカオを上げ、葉をジっと見つめた。

「だから、オイラはお前の元にはいけない・・・。」
「・・・僕を殺すことになってもかい?」
「うん。でも、オイラはハオのこと好きだぞ。いや、愛してる・・・。
だから―――・・・」

言葉を中断させると、葉はハオを地面に押し倒し、そして悲痛の色を表しているハオの体を、ぎゅっと抱きしめた。

「葉っ?」
「・・・これを最後に、オイラを抱いてくれんか?この身体が壊れるまで、ハオの気分が尽きるまで、激しく抱いてくれよ。」

そう言って葉は、自ら着ていた服を脱ぎ出した。ハオは葉の行動に一瞬目が釘付けになった。徐々に服を脱いでは葉はそこら辺に散らかせ、ついになにも着ていない状態になった。
そして、釘付けになっているハオの手を持って、自分の欲望に持っていく。

「よっ・・葉;?」
「オイラのココ、もう限界なんよ。早く・・・早く、ハオからの刺激が欲しい。お願い、もっと強く触ってよ。」

葉がそこまで言うなんて、かなり精神的に限界が来ていたようだ。そういうつつハオも、限界がピークにたしていた。葉の誘いに己の制御が保たれなくなったのだ。
ハオの上に乗っていた葉の身体を下に向かせ、体制を逆にし、ハオは葉の上に覆いさった。
そして耳たぶを甘噛し、首元に最後のキスマークを次々に付けていく。

「あっ・・・ん・・ハ・・オ・・」

葉から放たれる甘い声。ハオの欲望は一層高まった。
そして次々に葉の感じるところを攻めたてていく。胸の飾りを舌で舐めたり、吸ったり、そして身体中に赤い花びらを散っていく。

「ひゃっ・・・ん・・・やぁっ・・」
「最後だからかな、すごく感度がいいね。僕もすごく興奮する・・・。」
「ハ・・オ・・んっ・・やああっ」

ハオの手が葉の欲望を持って上下に抜きはじめた。すると、先走りの液がトロトロと流れ始めた。

「いやっ・・あっ・・はあぁっ」
「気持ちイイ?」
「うっ・・ん・・あっ・・気持ち・・イイ〜・・あぁっ!・・口で・・シてよ〜・・」

ハオの頭を葉は自分の欲望へと導かせる。ハオは葉の態度に微笑を浮かべ、葉の希望通り欲望を口で奉仕してあげた。強くしゃぶったり、先端に歯を立てたり、よりいっそ葉の熱を高ぶらせる。
もちろん、葉は素直に反応してくれた。

「あっ!・・ふっ・・あっ・・ハオ・・もう、・・だめ〜っ・・ぁぁっ!」
「イってもいいよ?」

そう言って、欲望を強く吸い上げた。

「あっ!・・やっ・・あああぁぁっ!」

ドクンっと、葉はいきよいよくハオの口の中に熱を解放させた。
ハオはそれを全部飲み干すと、指に付いた先走りの液をそっと、蜜のところへ持っていき、そしてプツリと指を2本挿入させた。
葉はイキナリ入れられた異物に一瞬苦痛の色を表したが、クチュクチュと指を器用に抜き出しと動かすと、葉は身体を震えさせ自ら腰を動かし始めた。

「腰が動いてるよ・・?もう僕が欲しいのかい?」
「ふぁっ・・あっ・・欲しい・・い・・れてぇ〜・・ひゃあっ」
「葉がそういうなら射れてあげるよ。僕も、早く葉の中に入りたい・・・。」

指をズルって引き抜き、ハオは自分のズボンから欲望を取りだして、葉の蜜に持っていく。そして、一気にあてがった。

「あっ!ああぁっ・・やっ・・ひゃあぁぁっ!」

最奥まで一気に突かれ、そして一気に引き抜く。
部屋全体に響く粘着性の音。繰り返し行う激しい行為に、葉はもう喘ぐことしか出来なかった。

「あんっ・・あっ・・ハ、・・オ・・・激・・・しっ・・!・・ああ!」
「ごめん・・うっ・・だめだ。僕・・もう・・止まらない・・・」
「ひゃああぁっ・・・速・・・い・・ハオォ・・・もう・・ダメ〜っ!」

早い動きに葉はもう限界が近づく。するとハオは葉の喘いでいる口に噛みつくような口付けをする。

「んっ・・ふ・・ん・・ハ・・オ・・・んん・・」
「はぁ〜・・葉・・・葉・・・」

口腔の舌を入れ、葉の舌を絡める。歯列をなぞり、思う存分葉を刺激する。
お互いの唇を離すと、葉の腰を持って最奥まで激しく突き続ける。

「ハ・・オ・・・・やぁっ!・・んっ・・オイラ・・もう・・イっちゃう〜っ・・!」
「うっ・・うん、僕も限界だ・・。一緒にイこう?」

今にでもイきそうな葉の欲望を持って先端を爪で引っかいた。


「やぁっ・・ハ・・オ・・っああああぁぁぁあっ!!」

葉は2度目の熱をハオのお腹に解き放った。

「くっ・・葉!」

放った衝撃で葉の内壁にあるハオの欲望を一気に締め付けられ、ハオも葉の中に己の熱を解き放った。



これでもう、ハオと身体を重ねることはできない


明日からは敵同士になる



最後の行為に疲れが発したのか、葉はすぐに眠りに入ってしまった。
目元には行為の涙が頬を辿って、床に落ちる。
ハオは寝ている葉の身体を清め、愛しそうに抱っこさせると、すでにひいてある布団にそっと寝かせた。そして葉の頬に手を添え、そっと口元にキスを落す。


「どうして、「心」は手に入っても・・・「葉」は手に入らないんだろ・・・。」



離したくないのに



「愛してるよ,葉・・・。そして、さよなら・・・・」


切ない声で耳元で囁いて、ハオは月光りの中静かに消えていった。






そして、ハオが丁度去った直後に、お風呂に入っていた蓮たちが部屋に戻ってきた。

「ム?なんだ、葉のやつはもう寝たのか・・・。」

そういって、蓮は手に持っていた牛乳をゴクゴクと飲んでいる。

「なんか今日は色々あったしな〜。疲れてんじゃね〜の?」

自分の布団に横になって、蓮に向かってニコニコと返事を返すホロホロ。
とその時・・・・

「ん?おい、葉の奴、寝ながら泣いてるぜ?」
「フッ。葉のことだ、どうせ怖い夢でも見ているのだろ?」
「ヘヘ!葉がそんなことで泣くわけねぇ〜だろ?蓮じゃあるめ〜し。」
「狽ネっ//!・・・き・・貴様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!(怒)」










蓮たちはなにも知らない



葉の涙が、それよりもっと悲痛なものを









あなたなら、この状況に陥った時一体どうしますか?










「オイラも・・・さよなら・・・ハオ・・・・」






*fin*


この話は原作を元に作りました。ちょうど、第219廻「サミット」と220廻「必勝」の間のお話です。
今回はハオ様はマヌケじゃありませんよ;;でも葉君が誘い受け;
葉君がハオ様を叩くなんていうから、こんな話を作ってしまったじゃないですか。

シリアスな話は大変ですね・・・。うむ、勉強します。。。




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